大原敬子(けいこ)公式ホームページ

先生との20年 記憶に残った学習④ えんぴつ  いつ、先生に教えていただいたかはわからないけれど、授業の始まる前にとがったえんぴつを5本くらい机の上に用意しておくというのが、ルールだった。私は、コンピューターでいろんなことをするようになり、そのルールを破ってしまっていた。でも、先生が作業されるのを見て、やっぱり真剣に考えるときはすごく大事なことなんだと思った。その作業というのは、えんぴつを順番に削っていき、全部で8本くらいをきれいに並べてから、資料をお読みになっていたこと。先生は、本当にすべて、体験・経験に基づく知恵を教えてくださる。

道具袋  小学生のときから道具袋の中にはいつも、コンパス・分度器・三角定規2枚・はさみ・のり・ホッチキスが入っていた。中学になると、そこにポストイットが加わった。大原先生の勉強法はそれがなければ、何もできなかった。だから、持っていることが当たり前だったし、何よりも宝物だった。
 授業は自分のその日必要な道具をテーブルの上にひとつひとつ並べることから始まる。先生はこの机のうえにその人の思考が出てるとおっしゃっていた。

居場所がないとき  中学生のとき、幾何クラスで難しい証明問題を解いていた。その日は最初、私が黒板に出て、説明していた。あるところから、行き詰まってしまいおろおろしていると、それぞれ各自問題を解き始めた。私は黒板の前に出たまま身動きができず、泣いてしまった。その様子を見ていた先生が1・2分経ったあと、こう教えてくださった。
「今どうしていいか分からなくなったんでしょう。もし、あなたも黒板に向かって、楽しんでもくもくと解いていたら、きっとみんな見たのよ。居場所がないときは、楽しみを見つけること。」
 それから、私は学校でもどこでも集団の中で居場所がなくなったときは、楽しみを見つけられれば、友達は自然に集まってくることを知った。

英英辞書と100の力  中学3年生のとき、英語の翻訳がテーマの講習会があった。2歳からいっしょに学んできた仲間と一緒のグループ学習。道具は1冊の英語の本と英英辞書だった。午前中は音読してから翻訳をする。その繰り返しだった。そして2時間の昼休み。この昼休みで英語を覚えてくるというのが先生との約束をだった。各自作ってきたお弁当を持って公園に行った。お弁当を5分ぐらいで食べ終えて石の段に座って英語を覚えた。ある友達が、木のまわりを歩きながら覚えていたのが印象的だった。私は、覚えよう覚えようと意識すると、どうしても頭に入って来ない。最後は、とにかく声に出して読むことを修行のようにやるだけだった。
 2時間が気づいたら終わっていて、先生の待つ教室に帰る道は複雑だった。覚えられている自信がなかった。教室に帰り、暗記した英語を順番に一文ずつ先生に披露すると先生が拍手で「よく頑張った」とすごく褒めてくれた。
 自分の中で100%の力でやったとき、先生は必ずすごく褒めてくださる。先生が褒めてくださってはじめて自分のどこがよかったのかが分かる。

チャーミングポイント  講習会のお昼休みで、みんなそれぞれが自分自身の1番嫌いなところを小さなメモに書いた。1番嫌いな、できれば自分の中から消えてしまえばいいと思うことを書いたそのメモを先生に見てもらうと、先生は信じられないと言ってその後に、こうおっしゃった。
 「これは、私が1番好きなところ。あなたの1番のチャーミングポイントよ。」
 先生の言葉に、思わず涙が出た。自分の心は上手く表現できないけれど、今までも、そしてこれからもずっと救われた気がした。

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