大原敬子(けいこ)公式ホームページ


心の叫び④ お化粧  私は、自分をきれいにすることに少し抵抗があった。大学2年生の終わり頃、自分の中では思いきってお化粧をして、髪の毛をセットして、一番の洋服を着て永田町に行った。教室のドアの前で1回、2回と深呼吸をして、もう一度と思ったとき(私の心の準備がまだできていないとき)に、後ろの階段のドアが開く音がして同時に大原先生のあのいつもの開放的な笑い声がして、振り返ると「どこのお嬢さんかと思った!」と先生が笑顔で言っていた。そのときから、私のお化粧に対する変な気持ちはからっとなくなった。

言い訳  高校二年生のある日、「教室に行くのがいやだなぁ」と思った日があった。ちょうど前後の日に教室がお休みの日があって、そのお知らせを聞いたとき、都合よく解釈をすれば、その日もお休みというようにとらえることができた。でも、心の底ではお休みではないと知っていながら、「よし、今日は先生がお休みと言っていたから帰ろう。」と思って学校を出た。学校から家に帰るときは成城学園前で各駅停車に乗り換える。そのときも、「今日は、お休みなんだ。」と言い聞かせ、最寄り駅でも、「先生が、お休みと言っていたからいいんだ。」と自分に確認をして電車を降りた。駅から家までは歩いて15分くらいかかる。歩いている途中、他の事を考えることも出来なくて、ただ足元だけを見ながら帰った。家まで続く最後の坂道を見たとき、急にたまらなくなってそばにあった電話ボックスから先生に電話をした。そのとき先生はなんて言われたかはあまり覚えていないけれど、自分の中で開放されたような気になって来た道を走って戻って永田町に向かった。
 教室に入ると先生は「あなたはすごい!!!家のそばまで帰ったんでしょう!よく来たね!!」と言って強く強く握手をしてくださった。今でもよく、自分に言い訳を考えてばかりいるけれど、ふと、あのときの先生が頭に浮かぶときがある。

紅茶の乾杯  大学一年生の春にホームページを作成し始めて、一番の問題だったことは、ヤフーに掲載してもらえないということだった。大学の教授に質問に行ったり、国会図書館で本を調べたけれど、なかなか検索にはかからなかった。それが、ある日(もう秋も終わりに近づく頃)急に、ヤフーにホームページが載っていた。決定的な理由が分からなかったこともあってすごくおどろいたけれど、よろこびの実感は、少ししかなかった。それよりも、「先生はきっとおどろいてくださるだろうなぁ・・・!」というわくわくした気持ちが強かった。
 その日永田町の教室について、真っ先に先生に報告すると、先生は想像以上に驚いて、「すごいすごい!!!やったじゃない!!!」と握手をしてくださった。先生との握手はいつも格別だった。そして、「よし!!乾杯しよう!!」と言って、紅茶を用意してくださった。お湯が沸くまでの時間、何度も印刷してきたヤフーの資料を目で追いながら読んでくださって、「ここまできたのね。」というようなことを繰り返し言ってくださった。喜びがどんどんどんどん大きくなって、スキップしたくなるような気持ちになった。

大声  小学校4年生くらいのある日、誰かが「叫びたい」と言ったのか、何でそうなったのかは確かではないけれど、先生は窓を全開にして「じゃあ、叫びなさい」と言った。先生がそういった瞬間に、みんなはしーんとなり、窓の外の車の音だけがビュンビュン通り過ぎる音しかしなかった。ものすごくドキドキした。先生はもう一度「いいから大声をだしてみなさい」と言った。声を出そう、出そうと思えば思うほどドキドキした。
 そんなとき、ある友達が、目をつぶって大きな声で「あーーーーーーー!」と叫んだ。少しあっけにとられた。先生は真剣に、その子を「すごい!!」と言って褒めた。今でもその意味はよくわからないけれどずーっとあのときの自分の心臓の音の感覚が残っている。

空気を見る  先生は空気をいつも見る。私が小学生の頃は、大原先生はよく音を出して空気を変えていた。先生がタンバリンやカスタネットでなどのリズムをとると、みんながそれをまねして机や手をたたいた。最初は、“タン、タタン”そして“タンタンタタタン”“ “タタンタ、タタタン”などと難しくなってくる。みんなのリズムが合わないと「もう1回!」と明るい声で先生言うので、みんなも夢中になって音を出す。難しいリズムがピタッとそろうようになると、もうその頃には腕まくりまでしていた。そして、先生が「はぁー。」と深呼吸をして、「じゃあやろうか!」と言うと、なぜだか不思議なことに、あんなに嫌だった問題が自然と入ってくる。そして、私はそんなとき決まって字をきれいに書きたくなった。

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